Virginia
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1992. George H. W. Bush and Boris Yeltsin officially put an end to the Cold War. Barcelona held the summer Olympic Games. The Tonight Show aired its last show with Johnny Carson… … and Lucas Fairfax disappeared from his bedroom in Kingdom, Virginia. Synopsis. Virginia is a single-player first-person thriller set in a small town with a secret.Experience a missing person investigation through the eyes of graduate FBI agent Anne Tarver. Together with your partner, seasoned investigator Maria Halperin, you’ll take a trip to idyllic Burgess County and the secluded town of Kingdom, Virginia, where a young boy has vanished and nobody seems to know why. Before long Anne will find herself negotiating competing interests, uncovering hidden agendas and testing the patience of a community unaccustomed to uninvited scrutiny.
Steam User 4
二周した。それでも自力だけでは理解不能だった。
私がこれまでプレイしたゲームの中でも最も難解。
賛否両論なのも当然で、だがこの難解さは周到に意図されたものだ。
まずこのゲームを楽しむにはデヴィッド・リンチ作品のような明確な解釈を拒む抽象的な表現に慣れている必要がある。
またアメリカの歴史、思想や文化、特に反共保守、黒人差別、薬物の影響、象徴の解釈などをある程度理解している必要もある。
このゲームではたまに文字情報はあるがセリフが一切なく、ほとんどのシーンが映画のようにカットされつつ自動進行するため
ほぼ映像の情報のみで人物背景や状況、ストーリーを解釈しなければならない。
アメリカ人だったら自然とわかる事も多いかもしれないが、日本人が予備知識も無しにやったら何もわからないだろうと思う。
私も一週目は登場人物の職業や人間関係などを判別できず、そのせいで後半の展開が全く理解不能になってしまった。
本作のようなカットのある無言劇という形式は「Thirty Flights of Loving(2012)」というゲームが初出のようで、
本作のスタッフロールでもわざわざリスペクトを表している。
10分ほどで終わるとても短いゲームだが、時系列を撹乱させたカットによる心理描写は秀逸で、内容の娯楽性も高くわかりやすい。
一方で本作のそれは明らかに挑戦的でありプレイヤーに対する要求水準が高く、
表現の解釈能力が試されるという意味での高難度ゲームと言える。
ひとつの解釈として、以下のブログ記事の考察が最も納得のいくものだった。
ここまで読み解くにはかなりの労力を割いたに違いないが、
正直なところ表現形式としてこれほど難解にする必要が本当にあったのだろうかと思えてくる。
難解さとは何なのだろう。
感情を感情として見せないための機構なのか。謎が謎としてあり続けるための儀式なのか。
それとも形式や様式の快楽の希求にすぎないのか。
おそらくVirginiaという作品の目的は「無念」の昇華だと思うし、それはネガティブな怒りの発露と同時に普遍的な願いでもある。
だがその熱量が大きければ大きいほどストレートにはぶつけることができなくなり、難解さで包み込む必要が生じるのかもしれない。
難解さに特別な価値や権威を付与する必要はないが、なにか特定の表現に必要な難解さというものはあると思う。
それで非難されたり無視されては元も子もないかもしれないが、
無味乾燥な歴史年表や「無念」という言葉だけでは絶対に片付けてもらいたくない。
それを予定調和の大団円で救った、救われた気になってほしくない。
ともかくそういう執念がVirginiaという作品には必要なことだったのではないかと思う。