The Invisible Hours
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The Invisible Hours is a complex murder mystery in which players freely explore an intricate web of interwoven stories within a sprawling mansion. A group of strangers receive a curious invitation from the enigmatic inventor, Nikola Tesla, offering each of them the chance to make amends for their darkest wrongdoings. When the last guest arrives at Tesla’s isolated mansion laboratory, they find him dead – murdered. Disgraced Swedish detective, Gustaf Gustav, vows to find the killer amongst the other guests: a blind butler, a convicted murderer, the world’s most famous actress, Tesla’s former assistant, the son of a wealthy railroad magnate, and rival inventor Thomas Edison. But none of these people are what they seem. The player is invisible, with freedom to follow and observe anyone in the story – or to explore the mansion for hidden clues.
Steam User 18
時間や場所を自由に行き来して、限られた空間で同時多発的に起こる出来事を目撃することが目的、という一風変わったVRゲームです。人や物に干渉できないと聞いて、それって面白いのかな?と疑問でしたが、ストーリーの巧妙さ、システムの快適さ、VRの没入感との相性等が上手くかみ合わさって非常に面白かったです。気になる方は、Quanero VRという2016年の無料作品をやってみることをオススメします。システムが似ていて、その斬新さで当時結構話題になった作品です。Quanero VRは1分ほどの出来事ですが、本ゲームでは作り込まれた1時間以上の群像劇を追いかける事になります。
まず、仕掛け・伏線・ミスリードらが巧みに配置されていたシナリオがとても良く出来ていました。古い時代の洋館で起こる地味な事件…と思いきや、物語は意外な展開をみせます。人物の行動には何度もええっ!と思わされました。シーンやテキストを集め、なるほどそうだったのか、とバラバラだったパズルのピースがハマっていく感覚は快感です。同じ時間を何度も繰り返すのですが、ラストシーンにたどり着くまで飽きることはありませんでした。クリア後おまけ要素と思われるシーンも面白かったのですが、そこは自力発見が困難で、もうちょっとヒントがあっても良かったと思います。
ワープ移動・時間操作・ものを掴むなどの操作性は良好です。巻き戻し速度が少し遅いかな。全体を通して見ていないシーンを把握することも簡単で、進行にストレスを感じることはありませんでした。画質はデフォルトだと解像度が低いのですが、ゲーム内オプションで上げてしまえば背景にもボケなどは感じず綺麗です。gtx1070で最高値まで上げても問題はありませんでした。人物のアートスタイルは好みが別れるところかもしれません。
残念ながら日本語は非対応。システム上進行に詰まるということはありませんが、英語が全くできないと楽しめないのは確かです。ただ、字幕は見やすく、一時停止や巻き戻しが自由自在のため、ヒアリングが不得手でも大丈夫。拾って読むメモやニュースも一つ一つはそれほど長くないので、ダレにくいです。むしろ英語の勉強したいな~と思ってる方に丁度いいかもしれません。立ち位置が悪いと字幕が人や物の後ろに隠れちゃうのはちょっと不便でした。
VRアドベンチャーの発展の可能性も感じる一本。Ever17VRとか作られないかな…日本語非対応がつくづく惜しい。
事前知識として、ほざくかッ!テスラーッ!でググっておくといいかもしれません。
Steam User 5
本作は約一時間の間(一度タイムスキップがあり、それ以外でも章の終わりで数秒飛ぶものの)ほぼノーカットで七人の登場人物が動き続けるというギミックが特徴となっている。各人物が限られた情報で最善と思われる行動を取ることで自体が悪化していく様子を描く悲喜劇である。
複数の人物が同じ場所に集まることが多いので、よほどゆっくりプレイしても8時間はかからないだろうが、4時間を切ることもないだろう(私は一通りプレイしてから、自力で解けない部分はネタバレを見ながら回収して約6時間かかった)。
プレイヤーの世界への干渉は極めて限定的で、基本的に「ゲームらしい」要素は誰がいつ何処で何をしたかを記憶して出来事の相関関係を立体的に把握するという脳内パズルに限られる。
といってもこれが映像作品として公開できるかというと、それは(可能ではあるが)ゲームのほうが自然なのにあえてやる意味がない。やるとすれば各話で各人物を追っていって全7話のドラマにするしかないだろうが、同じシーンをカットしてしまうと折角の長回しが台無しになるし、そもそも複数人が集まるシーンでは撮影班が一堂に会することになってCGで消す羽目になる。
そもそも演出や演技が映画でなく演劇的である(「的」どころか劇中にサラ・ベルナールがロミジュリを演じるシーンさえある)。それもそのはずで、現在のHMDの解像度では遠くの人物の表情は読み取れないうえに、そもそもキャラの表情が硬いので必然と言える。(というかシネマトグラフィーという概念が存在しえない以上、たとえ予算や技術の制約がなくともVRの芝居を演劇の亜種として扱うのは正しいだろう)。
「ゲームである意義があるか」という最早あまり意味のない質問はいいとして、「VRである意義があるか」という比較的有意義な質問について。結論から言うとこれも、別にVRでなくてもいいがVRのほうが自然である。というのも、核とも言える屋敷の位置関係を把握する際にVRのほうが都合がいいのである。
また、モノや人の存在感が平面とはダンチである。平面では気にも留まらないような小道具も、部屋に入った途端に気付くことができる。大抵の場合、重要な小道具は話の焦点になるのでそうなってから存在に気付いても問題はないのだが、そうなる前に気付けなければフリ無しでオチが来てしまうようなシーンもある。
そうでなくとも演劇を直接観るのと録画した映像を観るのとでは、前者のほうが自然であることは自明だろう。
一番肝心なストーリーに関して。
複数のナラティブ・スレッドが立体的に交差しているが、あらゆる行動に動機がきちんと描かれている。全人物が事件を通して変化する様も概ねちゃんと描かれている。
それはいいのだが……一応ミステリーの体をしているにも関わらず、発端の殺人の真相は明かされるまでほぼ絶対に分からないようになっている。これは些かまずいだろう。ミステリーでなく誤解が誤解を生む悲喜劇としては文句なしに良いので、枠付けを何とかすべきである。
またある種のメタ・レイヤーがあってそれが全てを締めるブックエンドにもなっているのだが、これも弱い。屋敷の主人であるテスラが客人たちを招待した動機が明かされるまではいいのだが、(時系列的に)そこから後の部分は蛇足としか言いようがない。ゲームである意味を無理矢理後付けしたかのような印象だが、それに関しては先述したように立派な意義があるので不要だろう。
結論としては、VRシアターの目指すべき方向を示すことでエポックを画す作品である。
もし平面として作られていたとしてもウォーキング・シミュレーター最高クラスであろう出来なので、VRヘッドセットを持っているのであれば、今までこのジャンルに興味がなかったとしても試してみる価値はあるだろう。
(ちなみに平面プレイにも発売後のパッチで対応したようだが、操作性がメチャ悪い上に全然直感的でない。その上ただでさえVRと比べて世界がちゃちに見えるのに、FOVが妙に広いので没入感が削がれる。独特な作品なので出来の悪い平面版でも充分プレイする価値はあるが、少しでもヘッドセットを買う心算があるなら買ってからにすべきだ)。